新しい年度にあたって

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新しい年度にあたって


防災研究所長 寶 馨


 

   

春爛漫、美しいサクラの開花とともに新学期が始まりました。皆様、そして防災研究所の教職員と学生諸君は、それぞれ平成27年度の目標や決意を心に秘めておられることでしょう。健康に留意されながら本年度も大いにご活躍されますことを祈念申し上げます。このたび所長に就任いたしました私の方も新たな気持で職責を全うして参る所存でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

新執行部の副所長には、中北英一教授(将来計画検討委員長)、西上欽也教授(研究・教育委員長)、丸山敬教授(対外広報委員長)、自己点検・評価委員長には澤田純男教授を選任しました。この体制でこれからの2年間、所内外の業務並びに諸課題を担当させていただきます。関係各位におかれましては、何卒よろしく御指導、御協力、御支援を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。


世界の中核拠点研究所として

さて、去る3月には、「第3回国連防災世界会議」が仙台で開催されました。この国連防災世界会議は、10年前の2005年1月には阪神・淡路大震災10年ということで神戸において開催され、「兵庫行動枠組 2005-2015 (HFA)」がそれ以後10年間の防災に関する行動指針として採択されました。今回はその後継となる「仙台防災枠組2015-2030(SFDRR)」が策定され、2030年までの15年間について防災・減災に関する7つの目標が掲げられました。すなわち、世界レベルにおいて、(a) 災害による死亡率を大幅に減らす、(b) 被災者数を大幅に減らす、(c) 国内総生産(GDP)に占める災害による直接的経済損失を減らす、(d) 医療や教育施設など重要インフラを強靱化し被害を大幅に減らす、(e) 防災戦略を持つ国の数を2020年までに大幅に増やす、(f) 途上国への支援を大幅に拡充する、(g) 複合災害の早期警戒システムをさらに整備し災害リスク情報にアクセスしやすくする、ということです。

防災研究所では、この仙台での国連防災世界会議の直後2015年3月19日~20日に、「第2回世界防災研究所サミット(GSRIDRR)」を宇治キャンパスで開催致しました。今回は、21の国・地域から86の研究組織(国際・海外機関56、国内30)、186人(海外から71、国内から115)の参加を得、稲葉カヨ京都大学理事・副学長にも臨席いただきました。本会議の成果は、世界の防災に関する研究組織が、今後10年間の取り組むべき諸課題のロードマップを作成できたこと、また、国際的な連携を推進するための「世界防災研究所アライアンス(GADRI)」を設立し、京都大学防災研究所が事務局を務めること(事務局長:多々納裕一教授)が合意できたことであります。研究所の国際的な取組がいよいよ具体化し、それを本格化させる時期が到来しました。仙台防災枠組2015-2030や9月の国連総会で決議される「持続可能開発目標(SDGs)」のような世界的動向も踏まえながら、研究所のさらなる国際化の実現を一つの大きな課題として、体制作りをして参りたいと存じます。

 

白浜海象観測所の移転と防災公共政策研究分野の最終成果報告

流域災害研究センター白浜海象観測所(1966年開設)が高台に移転しました。2015年4月24日には、開所記念式典を新館で行います。これまで以上に共同利用・共同研究が進みますよう、学内外の皆様の御協力・御支援をお願い致します。 また、総合防災研究グループ社会防災研究部門に設置された寄附研究部門・防災公共政策研究分野(国土技術研究センター)が2015年4月30日をもって5年間の契約期間を終了致します。その最終成果報告シンポジウムを4月21日午後に宇治キャンパスで、さらに、4月27日午前から京都大学東京オフィス(品川)において行います。これまで5年間の成果を振り返るとともに同部門の吉谷純一教授、清水美香助教、安田成夫前教授、梶谷義雄前准教授の貢献を記念する集会としたいと存じています。皆様のご参集をお願い致します。

最後になりましたが、世界防災研究所サミットなどの国際的な取組のみならず、改組の構想策定、拠点連携、自己点検・評価、外部評価なども含め数々の難題を取り扱ってきた大志万直人前所長、ならびに前執行部の岩田知孝教授、川瀬博教授、多々納裕一教授、堀智晴教授に謹んで感謝の意を表します。

2015年4月